夢の続き    2009年4月26日   小堺 高志

 

 

夢を見ている。

大勢のスキー友達に囲まれ、マンモスで滑り、カナダで滑り、ヨーロッパでアルプスを滑った。もしこの夢から覚めることがあっても、ずっとこの夢の続きを観ていたいものである。

 

昨秋に腰の背骨に金具を入れる手術をして以来、今シーズンずっとスキーから離れていた原ちゃんがやっとドクターのお許しが出て戻ってきた。その原ちゃんを歓迎するかのように新雪の便りがはいったが、コンデションは行って見ないと判らない。原ちゃんを歓迎して盛大にマンモスで祝いたいところであるが、3人ほど声をかけたが皆、都合がつかず、今回は私と原ちゃんだけのマンモス行きである。

 

佐野さんは通風の痛みがまだあり、不参加。ちょっと良くなると出歩くからなかなか完治しないで再発する。佐野さんがいないとスキー三昧も寂しいが、この際おとなしくして完治してからまたスキーの夢の続きを見て欲しい。

 

去年の秋以来あっていなかった原ちゃんにトーレンスの私の家に来てもらい新年の挨拶?をした後マンモスへ向かう。夜中の12時半ごろマンモスに着くと駐車場には3cmほどの雪が積もっている。気温も低い。予報では土曜の午前中まで雪である。これでもう一降りすれば4月後半とは想えないコンデションになるのであるが。

 

今回はこの土曜日が釣りの解禁日であるが、朝一番から釣りに行くつもりはない。まずはスキーである。9時過ぎにスキー場に向かう。すでに歩いていけるキャニオンロッジは閉まっているので車で移動して、メインロッジかスタンピーアレーのリフト乗り場から入らなければならない。これが季節外れの雪で意外にも凄く混んでいる。駐車場はすでにいっぱいで、かなり離れたところに路上駐車して、シャトルバスを待つ。

 

スタンピーからリフトに乗ると周りに見えるゲレンデは10cmほどの新雪に覆われている。ゲレンデの端にはまだ荒らされていない雪もみえる。原ちゃんは約一年ぶりのスキーであるから今日は「リハビリ」のスキーと言っている。中級者コースであるスタンピーを降りてみる。あ、原ちゃんの勇姿を写そうと思っていたのにコンドにカメラを忘れてきてしまった。

 

おそるおそる滑る原ちゃんの後をいく。「どう?」という私の問いかけに「滑り方忘れちゃった」でもちゃんと滑っているように見える。いまいち体重の移動でしっかりと雪を踏んでいる感覚がまだないという。そのまま5番リフトの方に移動するとちょうどリフトが動き出したところである。急いで滑り降りてラインに並ぶがすでにかなりのスキーヤーがゲレンデ上部をおりてくる。カメラがあれば記録に残せたのであるが、20cm位の新雪に瞬く間にたくさんのシュプールが描かれていく。まだ荒らされていないところを選び5番リルトの下を滑る。わずかな間であるが気持ち良く雪に乗れた。

 

リハビリ中の原ちゃんは中腹にあるマッコイステーションに行って休憩する。その間に私は上に見えたデービスランに向かう。山頂でゴンドラを降りてデービスランに向かうには左へ左へと山頂の尾根を移動しなければならない。このコースの滑り出しは尾根の一番先まで行くと最初は緩やかに、そしてだんだん急斜面へと落ちているが、その手前から滑り出だそうとするとかなりせり出していて、滑り出しは急激に斜面へとドロップしている。上からみるとどこから滑り出したら良いかわからないほど何処もヤバそうに見える。それでもオーバーハングを滑り出す。

出だしのオーバーハングを超えてしまえば後は滑りやすい深雪のゲレンデが続く。ここは25cm位の深い雪が付いている。何ターンかしてマッコイステーションへ戻るためだんだんと左へ方向へと滑っていったら急にそこまでの深雪が無くなり、がりがりでてかてかの氷河のような硬い斜面になって飛ばされて、転んでしまった。こんなに急に雪質が変化するのは主に山頂部で、場所や風の方向により雪が降っても雪が付かない場所があるのである。10メートルほど頭を下に滑り落ちながら、スキーを下に向けて行き、頭が上になったところで停まってくれた。

そこからゴンドラの近くまでトラバスするとまた深い雪質に戻った。良い所と悪い所のある一本であったが、この季節に25cmの新雪を滑れたのだから言うことはない。

 

マッコイに戻り原ちゃんとフェースの裏からスタンピーを2本ほど滑る。原ちゃんが「いててて!」と言うので腰が痛いのかと思ったら太ももと足首だという。それは運動不足である。リハビリはこのくらいで充分のようである。

 

12時前にあがって、すこし休んだ後レーククラウドへ釣りに行く。その前にフィッシング屋に寄りフィッシングライセンス年間41ドルなりを買う。ちょっと考えた。41ドル持ってマーケットへ行けば大きなサーモンが一匹買える。

どう考えても41ドル分のトラウトが釣れるとは想えない。でも原ちゃんが言う。

「41ドル払って飲み屋にいって、気持ちよく酔えたら安いもんだ」と。確かにビールと沖縄泡盛、それを薄める用の魔法瓶のお湯まで持ってきている。Good!

 

さて解禁日の今日だけ、湖に続く道の入り口にモービルトレーラーが停まり。入場料を徴収している。すでにフィッシングライセンスで大金を払っている我々からさらに搾り取ろうというあくどい公共事業である。その入り口で車が3台くらい停まって動かない。どうもお金を集める係員がとろいようである。一台に5分くらい掛かっている。かなり待たされてやっと我々の番に。入場料は9ドルである。10ドル紙幣を払うとお釣りを取ってくるとトレーラーの中に消えてなかなか戻ってこない。やっと戻ってきたらおぼつかない手つきで領収書を出し、カードを記入して通行パスをウインドーに張ってくれる。その動作の一つ一つがこのメタボは遅い。5分くらい掛かってやっと終了。私だったらすべてを1分でやって見せる。

 

ともあれ湖畔につくと釣り人が溢れている。隙間を見つけて釣り竿を取り出すとどうも私の釣り竿は2段刺しになっているのであるが上下がフィットしない。二組ある釣竿の上下の組み合わせを間違えて持ってきてしまったようである。原ちゃんが2本持ってたので一本貸してもらい。餌をつけて投げ込むと、椅子に座ってもうやることがない。

 

しょうがないからビールでも飲むかということになる。ビールがなくなれば泡盛でも行くかということになる。そうこうしてるうちに当たりも無いまま5時をすぎた。帰って食事の用意をしなければならない。結局今回お魚のお肴は姿も見ることなく終わってしまった。まー飲みに来たと思えば腹も立たぬ。


  
獲物を狙う原ちゃん、しかし収穫なし                               今日のマンモス

 

ジャクジーに入り、食事をしながらワインを飲むと気持ちよく眠ってしまったのである。

 

翌朝、昨日より早めにスタンピーへ向かう。かろうじてスタンピーの駐車場の外れに車を停める事ができた。昨日の午後の暖かさで一度溶けた雪が夜間に凍って硬くなっている。一日で雪のコンデションは見事に変わっていた。それてもスタンピーはかろうじてエッジが利く。何本か滑って原ちゃんは休憩。

その間に私は山頂に行ってコーニーを下りてみる。ここは所々エッジの聞かないガリガリの斜面があり、あまり良くなかった。そのままスタンピーの斜面を滑り続けていたら原ちゃんが追いついて来た。
 

さらに3本ほどリハビリを続ける。ちっちゃな男の子のスキーヤーが元気に滑り降りていく。どんなスキーヤーに成長するのであろうか。先が見えてしまう我々年配スキーヤーはうらやましい限りではあるが、まだまだそれなりにスキー三昧を続けたい。


  
スタンピー                      デービスラン                  原ちゃんの勇姿
    
原ちゃん                       私                         ちびっ子スキーヤー
 

帰路に付いて、ビショップまで降りると樹木に若葉が芽生え始めていた。さらに南下するに従い緑が濃くなって行く。まだマンモスには2メートルから3.5メートルの雪がある。5月いっぱいは開いているが、その後は雪解け次第の営業となる。

  
ビショップへ向かう道、若葉が美しい

私の携帯が見当たらない。一番確率の高い車の中を探す。原ちゃんが助手席を探しながら言う「小堺氏も佐野さん化してきたんじゃないの?」いろいろ探すが出てこない、電源を切ってあるので着信音であり場所を確認することも出来ない。うちの会社は常に10台くらいの携帯の予備を持っているから、なくしたと言えばその場ですぐ新しくしてくれる。と、諦めた頃、念のため原ちゃんが一番最初に探してくれた助手席のドアのコンソールを見たら、ありました。「原ちゃん佐野さん化していない?」とまあ、佐野さんがいないので言いたい放題ですが、無事に携帯は出てきたのでした。

 

原ちゃんが返ってきて、佐野さんが休場中である。なかなかフルメンバーが揃わない。

早く皆で夢の続きを観たい。