雪解け
                                 小堺高志  file#5/16/00

2週間ぶりにマンモススキー場にいくと、この時期わずかな期間に山はすっかり雪解けの季節を向かえていた。空が抜ける様に青く、若葉が眼に眩しい。

ゲレンデの横には半年ぶりに地面が顔を出し、そこから春の息吹が広がる。厳しい冬の模様がいつしか春の息吹に包まれた時、もうすぐスキーの季節が終りである事を感じさせる。

ゲレンデにでると、雪質は良くない、モーグルの出来るバンプも雪上車で削られている。このシーズンを懐かしむように何本か滑る。今回からシーズンパスがあるため、せこせこと滑ることもない。贅沢に昼まで滑ってあがる。

アッパークリークと呼ばれる草原の中を雪解け水を集めた河が流れる。そこは壮大な大地であり、遥か向うにマンモスの全景が地平線の一部を成している ,まさに草原に横たわる雪を冠った古代動物マンモスのようである。

ぽかぽかとした柔らかい春の日差しが心地良い。太陽に暖められた大地からは一斉に若草が芽を出し、複雑に蛇行した河の両岸は天然の芝に囲まれ緑の絨毯へと変貌をとげつつある。

頼さんに教わり、初めてフライフィシイングをやってみるが思ったようにフライが飛ばない。私の知る魚釣りとはまた違った奥の深い釣りであると感じる。

河岸の芝の上に寝転がってみる。右手に釣り竿、左手にバドワイザー。青い空にぽっかりと白い雲が浮かんでいる。雲も心なしか行き先を迷う様にゆっくり、ゆっくりと流れて行く。こんな時間もあって良いんじゃないか。

こうして1999−2000年のスキーシーズンは終わろうとしていた。雪の上で過ごした時間、振り返ればあの冷たさも、あの苦しさもすべて大好きなスキーという楽しいものに変っている。こんな時間が来シーズンも続く様に祈る。スキーは同じ場所でも毎回違う。来シーズンはどんな雪が、私を待っているのか。楽しいスキーの思いに夢を馳せ、ひと夏を過ごせばまた新たなシーズンの幕開けとなる。