天気雪                     5月11日2010年      小堺 高志

     

日本では鳩山首相の米軍沖縄普天間飛行場の移設問題をめぐる、ご粗末な対応が、また話題になっている。安易に沖縄の住民に県外だ、国外だと無責任な発言で期待させておいて、結局もともと自民党が苦労して出した原行案に近づいてきた。首相という重職を担いながら防衛、安全保障のイロハも判っていなかったと自分で認めてしまっている。こうなるとお笑いであるし、もう何処を落とし所としても地元の賛同は得られないであろう。

 

こうなることはある意味賢者には判っていたことである。最近この人をテレビでみると一国の首相に対してして失礼ながら、運動神経は悪そうだし、さらには知的障害者に見えてきてしょうがないのであるが、皆さんはいかがであろうか?

お坊ちゃんで誰に対しても悪者になりきれず、周りの状況に柔軟にリーダーシップを発揮する能力がまったくない。自分に能力がなければもっと専門家である官僚の知恵を借りればいいものを、民主党は議員立案、政党中心の政治をやるために官僚の意見はきかないのだそうだ。

おそらく将来この人は日本の経済力、外交力、防衛力を貶めた戦後最悪の首相として記録されるはずである。早く辞めた方がいいが、また同じようなご粗末な首相と政策が繰り返されるのではがっかりである。

さてさて、日本の今の政治を考えると腹が立つので、スキーの事を考えよう。

 

すでに5月になっているが、先月末に30cmほど降って今季の総積雪量が540インチ(13.7メートル)となった。1969年の観測開始以来4番目の積雪量であり、あと4インチで第3位の大雪となる。

春らしくなった5月の最初の週末をマンモスの雪上で過ごしに行く。天気予報は土曜日はまずまず日曜日は時々雪である。この時期に中途半端な曇りは雪面が一日中硬く嫌である。

 

今回は佐野さん、原ちゃん、そしてマンモスで菊地さんという何時ものメンバーである。7時に佐野さんの所に集合。腰痛を抱えながらも原ちゃんが参加してくれるのは嬉しい。しかし、出で立ちをみると完全な釣り師である。2週間前からトラウトの釣りが解禁になっている。

途中から原ちゃんに運転してもらって12時半にシャモニーに入る。今回は韓国酒のマッコリなどを持ってきてみた。軽いつまみで1時間半の宴会の後眠りに付く。外は暖かく風が強く吹いている。

 

土曜日の朝、日が照っている。私は7時半ごろ起きて皆の様子を見ながら8時半ごろ皆を起す。外はまだ風が強い。原ちゃんは朝から釣りに行きたいという。佐野さんはまだ雪が硬いからスキーも良くないし、釣りも風があっては出来ないという。菊池さんは原ちゃんに押されて朝から釣りでも良いような事をいう。「ちょっと待った!」である。私はもともとどんな条件でもまずはスキーで午後からビールをもって釣りに付き合うという計画である。菊池さん、原ちゃんに惑わされてはいけません。雪は10時半ごろには段々と柔らかくなる。一日中飲んでいる訳にも行かないし、今から釣りに行って一日中原ちゃんの釣れない魚釣りに付き合っていたら退屈でしょうがないですよ。それに原ちゃんは私が呼びに行かなければ暗くなるまで釣れなくても粘る釣り人ですぞ。

 

何とか私の主張が通り、とりあえず2時間ほど全員でスキーに行くことになった。しかし私だけスキーに残るかも知れないので車2台でスタンピーの駐車場に向かう。10時から滑り始めるとゲレンデの一番下の部分が柔らかく良いコンデションになり始めていた。原ちゃんはゆっくりのスキーだし、私がマンボの一番良い斜面を選んでいるのに振り返れば誰も付いて来ていない。そして雪質が悪いと愚痴る。

さらに佐野さんが5番に行きたいと言う。佐野さん、ここがまだ固いのに5番がいいはずがないでしょう。でも同じ斜面だと飽きるからと言う佐野さんに押し切られて5番に向かう。硬い斜面をトラバスして、やっと着いた斜面はかちかち山。私が言ったでしょう。すぐにまた引き返す。昔はほとんど私がコース選びをしていたが、最近は佐野さんに引っ張られて失敗することが多い。 



スタンピーからリフトに乗り久しぶりに見る原ちゃんの勇姿 

マッコイステーションに戻り原ちゃんを拾ってもう釣りに行くと言う3人。これから雪質が良くなる時なのにスキーヤー失格である。どうせ釣り人としても成果のない結果になりそうなのに3人は釣りに行ってしまった。春スキーが面白くないと言う人は積極的にテーマをもって滑らないからである。私は2本の滑った跡をつけるレールスキーとモーグルとグチョグチに重くなったザラ雪の上を乗り越えながら滑る春スキーはそれはそれで面白くてしょうがない。

その後のコンデションはどんどん良くなり、風も弱まり気持ちよく足でまとりのいない私は10本休みなく滑る。ウエストボールのモーグル斜面がそろそろ良くなっているかとおもい行ってみたが深い凸凹の中はまだ雪質が硬く早すぎた。休みなく1時15分まで滑って私もあがることにする。



まだたっぷりの雪。隣のスキーヤーに「お、高いスキー履いてるな」と言われたストックリーローター、確かに。
 

一度シャモニーに帰ってすこし夕飯の下ごしらえをした後、クローリーレークへ3人を追う。私は釣りよりも自然の中で飲むビールが目的である。しかしここの湖はマンモスに数ある湖の中でも数少ない平野部にある湖でまわりに木がない。緑は少ないが大物の魚がいる。ダートの道を走り、行き先と聞いていたグリ−ンベイに行くが彼らが見当たらない。2番目の候補ときいていたヒルトンへ向かう。ほとんど湖の反対側であり、片道20分はかかる。ヒルトンにはボートの上げ下ろしができる場所があり、かなり込んでいる。10分ほど探し回るがみあたらない。

 

コンビクトレークにでも回ったのかもしれない。ここは携帯の電波が届かない場所であるが街に戻るため携帯をいれる。電波の届くところに入ったら原ちゃんからメッセージがはいっていた。「予定変更してノースショアにいます。小堺氏のはまった所です」と余計な説明。私が足を滑らせて軽く足首を濡らしたのは5年も前のことである。 

またダートの道を引き返す。今度はすぐに居場所が判った。すでに3時近い、駆けつけ3杯で皆に追いつかないと。佐野さんが結構良い型のトラウトを一匹あげていた。菊池さんと少し水辺を歩いてみる。ここは今は水かさが低いが水面がもう1メートル上がると狭く急な滑り易い水辺となる。

 

4時くらいに佐野さんがもう一匹釣ったところで、帰ることになった。かなり出来上がった私は帰りは原ちゃんに運転してもらう。



ダートコースを走ってクロウリーの湖畔で3人を発見

湖畔は危ないのである。滑ったらまたドボンである

私以外の3人衆
 左からアル中、飲んべえ、酔っ払い。私?私はまともなスキーヤー、ははは

すでに大体の食事の用意は出来ているのでジャグジーにいく。ほとんど他の泊り客はいないがらがらである。今日はクローリーでやっと皆を見つけて、追いつこうと飛ばして飲んだのでアルコールが効いている。

今日の夕飯は鶏肉を塩コショウしてサラダドレッシングと何種類かの香料に一晩漬けて置いたのをそのままオープンで焼く鶏肉の香料焼き。

そしてタラの切り身をにんにく、ショウガ、味噌でまぶして小麦粉を付けてオリーブオイルで焼くタラの味噌焼き。さらに佐野さんが釣ったトラウトの塩焼きとサラダである。トラウトはサーモンピンクの身で脂が乗っていて美味い。

いつ寝たのか覚えていない。ちょっと今日は飲みすぎであった。

 



魚と鶏肉がメイン、佐野さんの釣ったトラウトの塩焼きを撮り忘れた

ヨッパッラって拾ってきた巨大松ボックリを暖炉で燃やす松脂が付いているので良く燃える

よく日曜、金曜の出がけに見た天気予報では曇り時々小雪であったが、外をみると快晴である。5年ほど前、湖に落ちてズボンまで濡れた事と関係あるのかないのか、その後、私は雨には濡れなくなり、かなり晴天に恵まれる晴れ男と自称しているのである。

 

今日も風があるが、10時には雪が緩んで滑り易い雪質となるはずである。やっぱりスキーに来ているのだから滑らないと始まらない。しかし私以外の3人はテレビでサッカーの試合を観ていて、私がスキーの身支度を終えても動き出す気配がない。年々春先は腰が重くなる。せっかくスキーに来たのであるから私だけ短い間でも滑ってくることにする。 

今の季節シャモニーの駐車場には私たちの他には2台ほどしか車が停まっていない。歩いていけるキャニオンロッジはすでに閉まっているので車でメインロッジかスタンピーアレーのリフト乗り場まで行かなければならない。

10時にゲレンデに着くと山の上に雲が出てきたがこちら半分は晴れている。滑り始めるとスタンピーの雪も緩みちょうど良い感じである。リフトラインもほとんどないのでノンストップでがんがん滑り続ける。

天気雪になってきた。青空が見えているのに雪が降っている不思議な天気である。フェースは雪が硬いがスタンピーとマンボは気持ちよく滑られる。大きいレールターンと小回りのターンでがらがらのゲレンデを一人で存分に滑り続ける。ぱらぱらと雪が降っているが視界は良い。12時前にはシャモニーに戻るつもりなので11時半には上がらなければならない。11時ごろから斜面の上のほうの視界が悪くなり始めた。最後の2本はスタンピーのリフトの真下をショートターンで攻めてみる。結構スピードに乗ってのショートターンを気合を入れて滑る。上のリフトの人から声がかかった。1時間15分で7本滑ったから上出来である。 



不思議な天気雪、スタンピーの駐車場、帰りにはかなり雪が降り出した
 

シャモニーに戻るとまだ3人はテレビを見ていたが、すでに部屋の掃除をしてくれていた。急いでオムレツと冷凍餃子を炒めて昼ごはんを作る。

 

帰りは雲はあるが気持ちよく晴れている。走り出して20分ほどすると左手にレーククローリーが見えてくる。

5年ほど前にこの湖にはまってかなり濡れ、シャモニーまで着替えに帰ったが、あの時は水かさが高く滑り易く、見える範囲で何人もの釣り人が同じようにドボドボと続いて落ちたのである。そんなに深くはないのですぐに立てたが、いまだに皆さんの記憶に残っているようである。原ちゃんでも湖にはまってくれると私のあの事件の印象が薄れていくのであろう。原ちゃんでも一度落ちてくれ、と祈るのであった。