小堺 高志 2009年3月10日
3月最初の週末、2週間ぶりにマンモスに向かう。佐野さんは先週の土曜から通風の足を引きずりながらメキシコへ行っている。明日土曜日には帰ってくるが、マンモスのコンドが空いているというので嘉藤さんと滑りに行くことにした。彼の知り合いの前木さんを誘ったので今回はこの3人である。
7時半に同じトーレンスの嘉藤さんの家にピックアップに行く。ここまでは先々週と同じであるが、その後エアポートに向かう。前木さんは某航空会社のカーゴ部門の責任者であり、嘉藤さんと会ったのも、つい最近の日系企業の催しでマウンテンハイにスキーに行った時だそうであるが、その後一度マンモスに行っているという。サンフラン、エルエーと2箇所にすでに合計6年近く赴任しており、帰国命令が出るのもそう遠くないかもしれないという今は、単身赴任の身の上だそうである。
マンモスは今週になって120cmくらい新雪が降っている。その嵐も去り、かなりいいコンデションのはずであるが、雪質は一晩で変わるので、行ってみないと判らないところがある。ともかく、日本ではそろそろ桜前線が北上を始めようという季節であるが、マンモスのスキーシーズンはまだまだ続くのである。
8時ごろエアポートを出てマンモス到着は夜中の1時半であった。そして3時までワインと焼酎で始めて会った前木さんと親交を深める。
翌日は快晴で朝から抜けるような青空である。まずは先々週からチューンアップのため預けっぱなしにしていた私のスキーをロビンのスキーショップに取りに行く。滑降面の穴埋めまでしてくれて45ドルという特別料金であった。
ゲレンデに出て雪を踏みつけると昨日が暖かかったので、もう完全なパウダースノーではない。理想的にはグルームしたての状態が一番良く、新雪に近い雪質になるが、マンモスでは一晩で100コースにもなるゲレンデをグルームしなければならないので昨晩遅くにグルームされた斜面は朝までに硬く凍み固まってしまう事が多い。
キャニオンロッジロッジエクスプレスのリフトからスタンピーに抜け、何度か滑って嘉藤さんが電話で連絡を取りながらラリーと落ち合う。ラリーは2週間前にもここで会ったカナダナショナルチームの元コーチである。嘉藤さんはラリーと滑る時は気合が入る。今日の嘉藤さんの服装はこれ以上ないと言うくらい地味である。今シーズン1回ゲレンデでのスピード違反としてチケットを切られているので、その後抗議はしたが、レコードがそのままであればもう一回切られるとシーズンパスを没収されることになる。そのため今回は目立たないように地味に行くのだという。ポリスに目を付けられないように赤いポルシェには乗らないということであるが、走りがポルシェではあまり意味がないように思うが、ともかくラリーと滑るときには燃えるようで気合が入っている。
ロビンのスキーショップ 本日も晴天なり
メインロッジまで下りてから、ゴンドラで山頂に上がることになり、全員で滑り下りるが先頭の二人は飛ばしていくので、ゴンドラ乗り場に着いた時にはもう姿が見えない。おそらく顔が利くラリーと一緒なので裏側からラインをカットインしたのだろう。
嘉藤さんの今日の服装は地味すぎて、少し離れたら判らなくなってしまう。ゴンドラを降りた後、山頂から左に行った急斜面デーブスランに行っているとは思うのだが、早くもはぐれてしまった。仕方なく二人はほっといて前木さんと滑ることにする。山頂で写真撮影をし、コーニーを下りる。急斜面ではあるがグルームされ、雪が付いているので滑りやすい。
その後、フェースの裏表のコース、マンボと、まだマンモス2回目であまり地図を良く知らない前木さんを案内する。彼は私より5歳ほど若いが、学生の時はスキーの同好会に入っていたそうで、良いスキーをしている。一度中腹のマッコイステーションで休み、その後また山頂に行く。
昼休みを取っているとラリーと別れた嘉藤さんが呼びに来て、テーブルを移ると雪女まゆみちゃんと、ロブのカップルがいた。最近恋をした雪女は雪を降らせる魔力が落ちたと噂で聞いていたが今日の天気は暖かすぎる。二人を夕飯に招待して、午後は一緒に滑る。雪面が吹き固められているせいか、振動でお腹が痛くなってきた私は、一度休むことにしてマッコイステーションに引き揚げる。3時ごろ合流して徐々にキャニオンロッジへ移動する。お腹の痛みも治まり、アクトの斜面に出来た程よい瘤を気持ちよく滑れた。
キャニオンロッジで前木さんとロッカーにスキーとスキー靴を入れる。こうすることで明日は手ぶらで歩いてこられる。ロッカーを使用するには販売機で買ったトークンを入れなければならない。一回2ドルである。トークンを買おうとすると10ドルで5トークンとある。5ドル札が2枚あるので5トークンが買えると思ったら、5ドル札では5ドル紙幣を入れるたびに2トークンが出てきて、10ドルで4トークンであった、1トークン分2ドルを損した感じである。
来期のシーズンパスは576ドルで今期と同じ値段のうえに、20ドルのスキー場内で使える商品券のような物をつけるという知らせを貰っている。不景気でスキー客の負担が増えないようにという心使いは嬉しいが、目の前の2ドルはどうしてくれるのだと言いたい。
シャモニーのコンドに戻って二人に手伝ってもらって夕食の準備にかかる。今日は何種類かの料理を予定している。メインは豚の生姜焼きであるが、人数が増えたので今朝といで置いたお米を4合に増やす、これで夕食と明日の朝昼までカバーできるはずである。
生姜焼きはまず豚肉をたっぷりのおろし生姜と一切れのにんにくを擂り下ろし醤油、酒に漬けておく。
ここまで下ごしらえをしてジャクジーにビールを持って入りに行く。温泉のようで気持ち良い。上に向かって聳え立つ大きなアメリカ杉の木が青空をバックに夕日に照らされて美しい。
40分後くらいに戻り、料理の続きをする。
たっぷりと味のしみこんだ豚肉を漬け汁ごと油を敷いたフライパンで炒める。同時に別のフライパンで玉ねぎとピーマンを軽く塩コショウして、刻み生姜と炒めておく。後は食べる寸前にこれらを混ぜて温めれば出来あがりであるが、砂糖をいっさい使わないところがポイントである。
次におつまみをつくる。マグロの刺身を5mm角にたたき。キムチを刻み、しその葉の刻みをまぜる。仕上げにマヨネーズを小さじ半スプーンでキムチの辛さをマイルドにすると同時にマグロにトロ味を加える。これがどんな酒にも合うのである。
他にエビの味噌焼き、鶏肉の味噌いためバジェル和え、味噌汁、サラダと品数は多い。用意が出来、6時半に二人のゲストを招きながら6時にはすでに飲み始めていた。客人が来た時にはワインが1本ほぼ空いていた。
二人が持って来てくれたギネスの黒ビールとワインを飲む。さらに前木さんが持ってきてくれた日本酒と、今日はチャンポンでかなりのペースで進んでいる。
結果的には私が一番飲んだようで、かなり酔ってしまった。醜態を晒していなければいいが、後半はあまり覚えていない。
酔った者勝ちであるが、二日酔いはなかったからまだ許容範囲であろう。
待ちきれずに一杯やってるおじさん達、そして雪女まゆみちゃんとロブを迎え酔っ払ってるおじさん達
カリフォルニアでは今週の日曜から夏時間になる。朝起きて時計を1時間進めるのが最初の仕事である。実質1時間損をするわけで朝から少し慌しく朝食を済ませゲレンデに向かう。今日も晴天であるが、風が強い。せっかくのグルームも強風で柔らかい雪は飛ばされ、雪面は硬い。昨日のスキーで運動不足で足ががくがくと言っていた前木さんはそれでも滑り続けているから立派である。若い時にずいぶん滑り込んだのだろう、安定感のある滑りをする。嘉藤さんは滑り出してしまうとほぼノンストップで行ってしまうのでもう少しゆっくりと細かいターンをしたい私は付いて行くのでいっぱいである。
メインロッジに下り、ゴンドラで山頂に向かう。マンモスの山頂に行くゴンドラは8人乗りであるがマッコイの中継点でさらに乗れるようメインロッジからのゴンドラは満員にしない。我々3人だけが一箱に乗りメインロッジを出発した。途中のマッコイステーション乗り込んできた4人組の中国人の一人がドアが閉じる時に片足が外に残り、ドアとステーションの床との間に挟まってしまい、ゴンドラが緊急停止する。リフトを止める人はよくいるが、ゴンドラを停めた人は始めてみた。幸いなんともなかったが彼は昨日はリフトも止めたと言っていた。スキー場で中国人を見るのはまだ珍しい。15年前、韓国人がじわじわとスキー人口を増やし、今やマンモスで見るアジア人のほとんどが韓国系であることを思えば、やがてスキー場に中国人が溢れかえるのであろうか。彼らの後ろには13億の潜在的スキーヤーが控えているのである、、、、、。いやいや、ここは産児制限の話ではなくゴンドラは止めないでくれという話である。
嘉藤さんも前木さんも基本的には大回転のスキーである。私のスキーは長さが158cmで金具に柔らかい雪用と硬い雪用でショックアブゾーバー機能の切り替えが付いているが、どうも切り替えが動かない。硬い雪用に設定を変えられないためもあるのか、硬い雪ではスキーがばたつく。荒れた急斜面などでの振動が腰に応え始める。休みなく11時まで滑たので、もうそろそろ引き揚げ時である。キャニオンロッジに向かって移動する事にする。
山頂にて前木さんと
途中の5番の斜面はエッジが噛む雪で今日一番のグルーム斜面であった。右にカットしてキャニオンロッジに戻るところを気持ちよく滑る前木さんが左に行くのを制しできす、また5番リフト乗り場に行ってしまった。もう一度5番リフト降り場から仕切り直しでキャニオンロッジに向かう。ブルージェーに向かう二人を右の視界に見ながら私は二人と違う瘤のあるレッドウイングの斜面を選ぶ。
瘤を滑り、最後はショートターンで滑り終点のキャニオンロッジの前に行くと、二人がすでに着いていた。今回もお疲れさまでした。
帰り道にみるシェラネバダ山脈の山々が青空の中、白く輝いている。手前の草原にはもう春の息吹が感じられる。今年の春の雪解け具合が気になる頃である。雪はたくさん降っても、温暖化の為か近年の雪解けは春になると凄い速さで進むのである。今年はいつまで滑れるのであろうか。
今回来られなかった通風の佐野さん、腰痛の手術をした原ちゃんの復帰が待たれる。