マンモスの青空    4月5日2007年4月1日

 

カナダから帰って10日が過ぎ、3月最後の週末、ホームグラウンドのマンモスに向う。原ちゃんとスキーに行くのは昨年末以来となる。佐野さんを入れての常連メンバー3人が揃うのは久しぶりだ。そしてもう一人、高校生のブライアン、彼は友達が先に行っていて、マンモスの街中のモーテルに落とすことになっているので我々と滞在先は別である。最近アルバイトを始めたブライアンが途中のモハベで我々にピザをご馳走してくれると言う。時給7ドルのブライアンが3時間働いて買ってくれたピザであるから、それは美味しいピザであった。

 

久しぶりに見る冬の星座オリオンが左の車窓一杯に輝いている。ブライアンをドロップして12時にシャモニーに着くと直ぐに向いのカールが顔を出す。

今回もスゥエーデン人のシンシア、サラのパーティー軍団、そしてサラのボーイフレンドでスゥエーデンとタイの混血トウシャン。彼らは火曜日から来ていて、火曜に降った1フィート(30cm)の新雪で水曜日にはパウダースノーを滑れたという。どうも私と佐野さんはウィスラー以降雪に恵まれていない。

 

朝起きると外は無風、眩しいほどの快晴である。カナダで雨の中でスキーをして来た私と佐野さんはカリフォルニアの太陽の有り難さを眩しく感じる。やはりスキーは青空の下、日焼け止めを塗って滑りたいものである。これで雪が良ければ言う事がないが、コンディションの良かったのは又しても昨日まで。それでも一本目の5番リフトへの斜面を滑ったら思いのほか良かったので、東斜面の25番へ降りてみることを提案する。ところがこれが裏目に出た。いつもだと、この斜面が最初に太陽が当たり緩むはずであるがまだ早すぎたようで、かなりガリガリの斜面であった。

マッコイステーションで軽い朝食を取って山頂へ、雪が多い時にはゴンドラのステーションから2-3段の階段を下りて外に出るのであるが、今は10段以上の階段を下りないと雪の上に立てない。何本か滑って佐野さんと原ちゃんがマッコイで休んでいる間に私はウエストボールの瘤斜面を偵察に行く。まだ硬くて滑りにくいがアイシーではない。それでも早く新しいスキーでのモーグルに慣れたくてもう一度ウエストボールを滑ってみる。スキーに遅れないように常に膝を前に出して瘤を越える事を心がけて滑る。後は慣れだと思うがモーグルばかり滑り続ける体力がないのが残念である。


スキーは青空の下

マッコイに行くとカール達とブライアンとその友人を入れ、8人がテーブルを取っていた。カールたちが山の裏側にある休憩所アウトポストに移動するというので、後でそちらで会おうということになった。

裏のアウトポストに下りる斜面は何処も雪が硬くアイシーであった。それでも私はグルームされていない荒れ斜面を下りてみる。かなりの不整地で硬い雪からの抵抗があるが、これをどうまとめて滑るかと言う挑戦である。上を見ると佐野さんと原ちゃんが「どうだい?」と私の報告を待っているのでポールでX印。二人は廻り道をして下りてくる。

アウトポストで昼食を摂るカール達に合流。スウェーデン人のトウシャンはスウェーデンで不動産の売買をしている。嘗て北欧で一番経済的に恵まれていたスウェーデンは今、油田を持つノルウエーにそのナンバーワンの地位を奪われ、ノルウエー人がスウェーデンの不動産を買いあっさっているのでノルウエーに買われる前に日本人に買って欲しいとセールスをかけている。スウェーデンに別荘を持って利用できる日本人はそうは居ないと思う。

メインロッジ経由でフェースに戻りカール達と別れて我々はウエストボールの瘤斜面へ行く。やはり私にとって今の季節、一番面白いのは、少し柔らかくなった瘤をのりこなすモーグルである。少しずつイメージに近づけていけたら良い。



マッコイから青空を仰ぐ             山頂にて私

夕方5リッター入りの生ビールの樽を持ってジャグジーへ繰り出す。つまみはスルメである。先日の嵐で、まだ屋根には少し雪が。残っている。そして頭の上にはまだ青空が広がっている。

今日は牡蠣鍋、日本人なら牡蠣を食べられない人は居ないと勝手に思っていたが、どうやら牡蠣の名産地広島の出身のである原ちゃんはあまり牡蠣が好きではないようだ。

食後、シンシア、サラの襲撃をうけるがもう冷蔵庫にはほとんどビールが残っていない。夜10時、やはりそれだけでは済まない彼女達はまたヴィレッジのバーへ繰り出していった。

 

日曜の朝、気温は昨日と同じくらい。雪のコンディションも昨日並みであろうと期待できない。今日から來シーズン用のシーズン パスの販売が始まる。キャニオンロッジに行くと発売をしていて、ほとんど待つことなく簡単な手続きで直ぐに更新できた。隣で同じく更新しようとしていた佐野さんが急に止めてしまったので聞くと「ギフト券を買わせようとした窓口の担当者の態度が悪かったので止めた。後でインターネットで更新する」という。佐野さんは傷つき易い年ごろなのである。

年々シーズン パスの値段も上がっているが、我々のような永年のメンバーにだけ出しているMVPパスはまだ年間545ドルでお買い得である。

昨日の事があったので今日は慎重にコースを選ぶ。まずは昨日良かった5番のリフト下のグルームされた斜面を滑ってみると、適当に抵抗のある雪質でエッジが効いて持ちいい斜面である。これは今回一番の斜面かもしれない。そのまま昨日滑らなかったスタンピーの斜面へ行くと、これも正解である。ついつい止まるのを忘れるくらい気持ちよく滑る。その後休憩してフェース斜面の表、上部には瘤が出来ているので滑ってみる。今、ニュースキーでバンプ斜面を体が遅れないように滑るのが私の課題である。バンプでのスピードが早いスキーなので難しい課題であるが、少しずつこなしつつある。しかしもっと滑り込まなければならない。新しいスキーで瘤斜面を滑るという課題は、今、佐野さんも原ちゃんも抱えている課題である。佐野さんはストックリーのニュースキーが私のスキーと同様に佐野さんを置いて先に先に行こうとするので、何処で制動を掛けるかで、まだ乗りこなせていない。原ちゃんは今年から私の古いスキーを履いていて感覚を掴めないでいる。3人ともスキーが変わり瘤の攻略方を研究中でなのである

 

快晴の山頂に上がり3人で記念写真。瘤斜面のウエストボールはまだ雪が硬いのでモーグルを滑っていないが、それ以外ではコニースもフェースの裏と表も春スキーとしては思いのほか雪質も良く滑り易い、昨日を50%とすれば今日は80%の満足度である。

昨日は最初に私が選んだ25番で味噌を付けたので、その後私は沈黙、佐野さんが主にコースを選んでいたが、その後滑った裏側、ドロップアウト、すべて良くなく、コンディションのせいにしていたがどうも佐野さんのコース選びが間違っていたせいもあったのかもしれない。

気候的には昨日とほとんど変らない今日であるが、満足度が高かったのはコース選びが良かったせいも有る。気候、その日のグルーム加減、等によって時間ごとに変るコンディションを読み、ベストのコース選びをするは、マンモスを知り尽くしていても難しい事である。



5番下をいく佐野さん              山頂で記念写真

ミッドカフェで休憩して、ここで足が痙攣しそうだという原ちゃんは先に戻るというので別れて、佐野さんともう一度ウエストボールの瘤を滑る。まだ課題は残ったままであるが雪が緩んできたので幾分の進歩は感じる。アッパーキャニオンの狭いシュートを降りると、ここもグルームされて良い感じである。そしてキャニオンロッジへの帰り道、もう一つのモーグル斜面 アクトを滑る。ここはウエストボールより短い瘤斜面で一気に滑られるので好きである。適当に柔らかくなった瘤は丁度良い練習斜面である。一気に降りるとそのままキャニオンロッジに降りて今回のスキーは終了である。今度来られるのは3週間後か、例年なら6月一杯滑れるのであるが、今年は5月にはシーズンも終了かと思われる。クリークを流れる雪解け水の量も今年は少ない。雪を取るか、青空を取るかといわれれば雪があってのスキーであるから雪をとるが、青空の下のスキーは一番気持ちよく滑られる。そしてマンモスでは青空を見られる日がかなり多いのである。

395号線を下ると若葉のやさしい色が目に入る、季節はすっかり春である。