2006年6月5日
メモリアルの3連休、原ちゃんと7時前にマンモスに向かう。佐野さんと斉藤(ヒロ)ちゃんはすでに1時間半ほど前に斉藤ちゃんの息子とその友達を2人連れて先に出発している。真夜中の12時少し前にマンモスについて給油のためガソリンスタンドに寄る。原ちゃんに運転してもらい、うとうととしていた私が、車の外に出ると風が吹いていて真冬のように寒い。2週間前は春の訪れを告げるように暖かい気温で雪が融け続けていてTシャツでスキーをする人がいた。今回もさらに暖かくなるだろうと冬の装備を解いて春用の装いを持ってきていた。この寒さは想定外である。手早くセルフの給油をセットすると車の中に逃げ込む。
コンドに着くと30分くらい先に着いた佐野さんがまっていた。斉藤ちゃんは向かいの友人カールのコンドを借りて子供達と入っているので今回は人数の割にゆったりとした部屋割りである。
朝、嘉藤さん夫婦が顔をだす。早朝にロスを発って今着いたところ、これからスキー場に向かう途中である。
9時半頃に2番リフトに乗ると強い寒風が吹いていて冬のような寒さである。しかし雪はまだ3メートルくらい残っていて山全体をたっぷりと包んでいる。まだ斜面はがりがりに凍っている。ちょっと早く出すぎたか。メインロッジのバーでしばらく雪面が和らぐのを待っていると目の前にマンモスのスタッフがいる。彼女達の着ているTシャツをみると「Endless Winter、 2006 Memorial Day」とある。2006年メモリアルデー 終わりなき冬である。
今回は嘉藤組のスキー仲間も大勢来ているので滑りながら彼らを探す。ゴールドラッシュのリフトの上からウォールストリートの斜面を行く彼らを見つけるが、追いかけられる距離で無いので我々はローラーコーストの斜面を滑る。今日の寒さは春スキーではない、朝の寒さでゲレンデは堅く滑りにくいが、ここのコースもウォールストリートもマンモスで一番標高の低いところにあるため、最初に凍結した雪面が緩む場所である。少しずつ雪が柔らかくなると気持ちよく滑られるようになる。
ミルカフェで嘉藤さん、斉藤(太)さん達に合流。相変わらずおじさん駄洒落が冴える斉藤さん。しばらく一緒に滑ると、昼になると佐野さんと原ちゃんは釣りに行くというので私は残って 嘉藤さんたちと一緒に滑り続けることにする。嘉藤さんに手首が外に開く癖を指摘され直すように気をつけて滑るが、長年身についた癖は無意識でいるとつい出てしまう。
フェース リフトとウエストボールの瘤斜面
今シーズンは7月4日までマンモスは開いているが、ほとんどの仲間が今回が今期最後のスキーである。マンモスでこれだけスキー仲間が集うのは来期まで無いので打ち上げを兼ねて午後4時半からシャモニーのコンドでスキー仲間が集まってバーベキューパーテーをする事になっている。4時過ぎから皆が集まり始めるがバーベキューのグリルがあるプールサイドは屋外で今は薄日が射しているが風が冷たい。リクレーションルームは改装ちゅうで入れない。風が強くバーベキューにはならないと急遽、場所をコンド内に移すことになった。斉藤(ヒロ)ちゃんと戸川さんがお肉を担当し、斉藤さんが秘伝のたれによる焼き鳥を向かいのカールのところのオープンで焼いている。そして間もなく佐野さんと原ちゃんが今日の釣りでトラウトを持って帰り食卓を飾るはずである。しかし4時半に二人が手ぶらで帰ってきた。これを獲らぬ狸の皮算用ならぬ「釣らぬ魚の焼き魚」と言う。あれだけ 大言壮語して出掛けたのに「今日は魚がいなかった」との言い訳。それでも十分すぎるほどの食料がある。斉藤(ヒロ)ちゃんの持って来てくれた地元で買っても一本100ドル以上するカリフォリニアワインの最高峰オーパス ワンもある。少しずつ飲めるようになってきている私も少し頂いてみる。外では先ほどから季節外れの雪がちらほらと降り出している。スキー仲間のパーティーとしては良い演出である。宴たけなわ、楽しく食べて楽しく飲む。雪がさらに激しくなってきた。
風が強く屋外を引き上げる屋内に 季節はず外れの雪が降ってきた
翌朝は晴天、起きないと思っていた原ちゃんが5時15分に起き出して、雪辱戦でクロウリーレークへ釣りに行こうという。昨夜の雪がうっすらと車の上に残っているが今朝は快晴で太陽の光りを受け解け始めている。途中でモーテルに泊まる沼ちゃんをピックアップしてクロウリーの北岸につくと春の芽生えで緑の絨毯が敷かれたような湖岸が朝日に照らされて美しい。10時にはスキーをするために戻らなければならない。約3時間の釣りで昨日の雪辱が出来るか?
待つ事しばし、30分ほどで原ちゃんの竿にヒットがあった。中型のトラウトを上げ、これで少なくとも手ぶらで帰る心配はなくなった。プレシャーから開放され、佐野さんがひと回り大きいのを一匹上げトータル2匹になった。この調子で行けばさらに3−4匹期待できそうである。すぐにまた佐野さんにヒットがあったが珍しく佐野さんが2度続けて一度フックした獲物を取り込み中に逃げられてしまった。導糸が細すぎてジャンプされた時に糸が切れてしまったのだという。本当はもう2匹持って帰れたのにと釣り師佐野さんとしては豪くプライドを傷つけられたよう。これを最後にその後ヒットの無のないまま9時になりタイムアップ。一度引き上げてスキーに向かう。
3連休の中日、予想していたよりはるかに沢山のスキーヤーが来ていて、最盛期のように車のパーキングスペースがない。けっこう離れた場所に路上駐車して、シャトルバスで2番リフト乗り場にもどるとミッルカフェですでに朝7時半から滑っている皆さんに会う。昨夜は寒かったのでなかなか雪が柔らかくならない、しかし場所によっては朝グルームされており良いコンデションのところもある。下から見て大勢が滑っている所は大概コンデションが良い目印である。それとショートターンをしている人がいればその斜面はアイシーでなくエッジが効く状態であることが遠くから見て判断できる。その判断で下から見ていくとスコッテイの斜面が良さそうである。
山頂から回り込んでスコッテイの斜面にでると、思った通り今日一番のコンデションであった。2本滑ってランチにミルカフェに集合。午後からは一番ポプラーなスタンプアレーの2番リフトを中心に滑る。先頭を勤める嘉藤さん、しんがりを勤める斉藤(太)さん、私は大概このメンバーだと2番手を行く。佐野さん原ちゃんは斉藤さんの前。大勢で一斉に滑るのもまた気持ちが良い。
春のこの時期、リフトが動く時間は朝7時半から午後3時までである。午後2時半くらいからミルカフェに全員そろってビールを飲んでいる。3時少し前、このまま上がるのは少しもったいない気がした私が「もう一本、最後の一本行く人?」と有志を募ると手を上げたのは戸川さんだけ。二人で2番リフトに乗って今日の最後の一本を滑り始めると途中で私の横を嘉藤さんが追い越していく。やはり来ましたか、いつの間にか後から追われていたようである。最後は気持ちよくショートターンでミルカフェに向かって滑り降りる。
加藤さんと佐野さん 斉藤さんと私
月曜日、6時ごろ起きたがクロウリーに釣りに行くにはちょっと遅すぎる。散歩がてら、1時間ほど一番近いツインレークへ行ってみる事にした。ツインレークへはこれで2週間の間隔をあけて3度目である。6週間前には湖面はほとんど雪に覆われていたが来るたびに雪の量が減り、今回はほとんどの水面が出ている。原ちゃんが釣り糸をたれる間に佐野さんと湖岸を歩いてみる。もともとここは自然にかこまれた美しい湖であるが、雪山と新緑を水面に映し、いまの季節の美しさは格別である。この風景を撮ろうと素人カメラマンが何人か来ている。そのなかのオリエンタルの二人がいきなり釣りをしている原ちゃんの直ぐ横30cmにずかずかと寄り写真を撮り始めた。普通こういうシチュエーションでは挨拶があって当然であるが、二人は我々を意に介さずシャッターを押し続ける。会話からは中国人である。佐野さんが私に合図を送って笑いをこらえている。失礼な奴らだが最近中国に行ってきた佐野さん、中国びいきになって帰ってきたのかと思うとさにあらず、中国人はまだまだ我々から言わせれば国際性のない田舎物がほとんどであるという。すべてこの感覚で外交、軍事、経済の政策を立てているように思える。話が反れるのを承知で言わせてもらえば太平洋戦争の日本の侵略を60年間非難し続ける中国の歴史はジンギスカンから毛沢東によるチベットの併合に代表される民族間の侵略に次ぐ侵略の歴史である。経済ばかりが先走る中国が名実共に高い民度を備えた大国にあるのはまだまだ先のことだと思える。
嘉藤さんはデスバレーの最高標高の山を目指したホワイトマウンテンの登山仲間をロンパインで迎えるため今朝すでに出発している。斉藤さん達と合流して滑ること1時間、佐野さん、原ちゃんはもう休憩に入ると言う。今日は実質2時間半しかスキーの時間がないので私は休みなしで滑り続けたい。今日も7時半からゲレンデに出ている斉藤さんたちから「今、来たばかりなのにもう休憩ですか?」と驚かれるが、私としてもフォローのしようがない。
二人をマッコイステーションに残して滑り続ける。11時15分頃ウェストボールにいくと二人がいた。ウェストボールには大きく深い瘤が出来ている。二人に追いついて2度ほどモーグルを滑る。まだやっと柔らかく滑られるコンデションになったばかりである。本当はもっとモーグルを滑りたいところであるが、もう上がらなければならない時間である。二人もコースから外れることなくこのモーグルを下りている。3年ほど前までは深い瘤をさけて端を滑っていた原ちゃんなどはたいした進歩である。(これは私からの最大の誉め言葉ですから素直に受けましょう)。しかしモーグルはまだまだ奥が深い。目の前を華麗に滑るモーグラーを見ると、体力の続く限りさらに挑戦してみようと思うのである。