小堺 高志 3月30日 2007年
日本からは桜の便りが届く3月最後の週末マンモスへと向う。
仕事が長引き30分ほど遅れて集合場所の
郊外にでると闇夜の空に星が満天に輝いている。
昨夜は実家に電話をした。私のエッセイを読んでいる85歳の母に「お前は何時も飲んでばっかりいるんだね」と言われた。普段、家ではあまり飲まなくなったし、そんなに飲んでいるつもりはないのであるが、確かにスキーに行くとビールを飲む場面が多い。周りに飲んべえが多いからである。いくつになっても親の忠告は耳に痛いがありがたさが残る。ありがたく心して、途中のモハベのピザ屋さんでまずはビールで乾杯。一つのビッチャーを4人で飲んだから、たいした量ではない。原ちゃんが「もうワンピッチャー行く?」といったが、母の言葉を思い出し、「まだ、宴会は早いでしょう」と切り上げて先を急ぐ。
12時15分、キャニオンロッジに着くとぱらぱらと雨のような雪が降り出している。エルセントロから菊池さんが着いていて、ロールキャベツを温めてワインを2本飲む宴会は2時までつづいた。
朝、待ちきれない斉藤ちゃんが7時にゲレンデに向う。今日はMVPのシーズンチケットを持ったメンバーへの感謝の朝食がマッコイステーションで振舞われる。そのためいつもより1時間早い7時半からリフトが動き始めるという。
私もまだ寝ている3人を置いて7時45分にゲレンデに向う。
外は1インチ(2.5CM)くらいの積雪、mvpのパスをチェックされ、すでに動いているキャニオン エックスプレスのリフトに乗る。ゲレンデには見た感じ5CMほどの雪が積もっている。少し滑ってみるとかなり良い感じである。そのままマッコイステーションに朝食に行くはずであったが、これはもったいない、5番リフトが今まさに動こうとしている。5分ほど待っている間にフェースリフトの方から回ってきたスキーヤーがゲレンデを下りてくる。天候も良くなり新雪として楽しむに十分な雪がついている。まだ寝ている3人は朝はアイシーなコンデションで、良いはずがないと思っているはずである。
5番リフトのすぐ左側の林の間に狙いをさだめ、リフトを下りるとすぐにその斜面に向う。これは予想外の良いコンデェションの恵みの雪である。吹き溜まりのなかでのターンの度に少しスキーが雪の中に沈みこむ感じがいい。両足のスキーを浮かせて次のターンに入る。振り返ると自分の滑った跡が残っている。
途中で止まっていると、斉藤ちゃんが私を見つけて追い付いてきた。他の3人に後で見せてあげるために写真を撮って、また5番リフトに並ぶ。今度はリフトの右側を下りる。上部は雪の付きがよくなかったが、後半はいい。左側の5番メインのゲレンデであるソウテドの斜面にスノーキャットが3台出て、グルームをはじめた。これまた是非滑らなければいけない。マンモスがこの時間にグルームをしてくれるのは珍しい。MVPへの感謝の一環か?3台のキャットがグルームしてくれたばかりのところを滑ると、これは
そのままスタンピアレーに行きリフトに乗ると、ここでも4台のキャットがグルームを始めた。今度はカーブスキーの特徴を活かしたスキー全体で雪面を押さえ付けるようなターンでグルームされたばかりの斜面を楽しむ。再びスタンプアレーのリフトで上がると山頂に行く23番リフトが動き出したのが見えた。なかなか朝食にマッコイステーションへいけないが、スキーヤーとしてはこのコンデションは見逃せない、スキーが優先である。
23番のリフトをおりて、リフト下にあるワイプアウトへ向う。ここはマンモスでも一級の2ブラックダイヤモンドの急斜面である。斜面と並行するリフトの上からはその実際の勾配を把握できないが、上からのぞくとかなり前に身を乗り出さないと下の斜面が見えない。滑り出しは落ちていくような急斜面である。雪は付いているが、かなり大きなでこぼこがあり荒れている。ジャンプターンで途中まで下りるとそこからは滑りやすい斜面がつづく。
メインロッジにおりるとテントが10軒ほど張ってあり、プロモーションをしている。その一軒で鶏の人形を5Mほど離れた穴に入れると商品を貰えるのがありやってみると6個中2個が入り、10種類ほどある商品のどれでも取っていいといわれた。ワックスとリップステックどちらにしようか迷ったすえ、両方とも貰ってしまった。
すっかり寄り道をして、やっとマッコイステーションへたどり着く。無料の朝食を10時まで提供しているはずであったが、私が着いた10時3分前にはもう終了と言われてしまった。それでも斉藤ちゃんをテーブルに見つけたら、彼が私の分も確保してくれていた。
しばらくして
スタンプアレーと山頂に行ってコニースを滑り、マッコイにもどると、原ちゃんが雪の中に隠して冷凍していたシャンペンとワインを掘り出してくる。何せ原ちゃんは何しにマンモスに来るのかと聞けば宴会に来ていると答える人である。ビール、ジャックダニエルも持ってきている。普通ワイン、シャンペンをボトルでスキー場に持ってこないだろう?これで宴会の始まりである。恐るべき50代であるがこの歳になると皆何か障害を抱えているのも事実である。原ちゃんは腰が悪い。
ワイプアウトを下からと、上からのぞく
1時間半ほどの宴会の後、フェースの裏を滑り、キャニオンロッジの方へ移動していく。8番リフトで何本か滑る。レッドウイングのモーグルを滑り、ブルージェーを滑り、最後は8番リフトの下を滑る。ここはリフトから丸見え。オーディエンスがいると気合が入る。しかしゲレンデの雪は溶け出してスプリング状態であった。
3時にあがって、ジャグジーにハイニッケンの5リットルのケグ(樽)を持ち込んでビールパーティーとなる。ぱらぱらと雪が降っている。雪見酒という言葉があれば、雪見ビールという言葉もありであろう。
ジャグジーに入りながらビールが進む。今日は昼の宴会から私がかき回し役である。原ちゃんのちょんまげを掴んで「これは毛根が弱いから、引っ張ったらかつらみたいにすっぽりと抜けるよね」などといいたい放題である。原ちゃんは広島生まれであるがお父さんは満州、お母さんはブラジルの出身で戦後日本で出会った夫婦から生まれている。だからアミダくじの隣を引いていたら、満州、ブラジル、アメリカで生まれていた可能性もある大陸人である。
しかし5リッターのビールは飲みがいがある。いかんいかんと思う気持ちが薄れていく。気が付けば樽のビールとワインのボトルが空いていた。そのうち3リッターは私と原ちゃんが飲んだことになっている。そのうちの2リッターは原ちゃんが飲んだと思っているが、原ちゃんは私が飲んだと思っている。その後、ワインを飲んで、早々と転寝に入るのであった。ここが若い時と違うところ。無理をすれば何処かでブレーキをかけなければならない。
滑り疲れて、ビールが美味い
天気予報では土曜が20%の雪、日曜は晴れと言う事であったが、朝起きて外を見れば雪がこんこんと降っている。斉藤ちゃんが8時にゲレンデに向う。
今日はビールを飲まない一日にしようとスキーとは関係ない誓いを立てて私と菊池さんは8時半にゲレンデに向う。
キャニオンロッジで昨夜から入れているスキーを取り出すため、ロッカーを開けようとしたが開かない、菊池さんに代わってもらったがやはり開かない。ここで大男菊池さんが怪力でロッカーをぶっ壊そうとした時、もう一度ロッカーナンバーを見た菊池さん。「小堺さん、これ2071じゃなくて2070ですよ」隣のロッカーを強引に開けようとしていたのである。怪力でロッカーをぶっ壊さなくて良かったが、いやー、貴方の注意力を試したんだよ ハハハ。
ゲレンデは昨日と同じ位の積雪である。滑ってみると昨日の午後に一度解けた雪が凍ってその上を新雪が覆っているだけなので、滑ると下のガリガリが気になる。風があり、上の方の視界は悪い。ローアークリークは谷になっているので吹き溜まりが出来ていた。スタンプアレーは10cmくらいの雪が全面に付いていて、昨日それほど雪が解けなかったのか下のガリガリが出ない状態で滑る事ができる。2回目はマンボを滑り林の中に入ってみる。ふわふわ雪が気持ち良い。
マッコイの裏にあるロジャースライドを滑る。ここは短いが急斜面である。30センチ近い久しぶりの深い雪。普段
10時半にキャニオンロッジ前でやっと出てきた佐野さん、原ちゃんと落ち合う。
今日のコンデションを伝える。5番リフトから西側がよく、キャニオンロッジ側は昨日解けて凍った雪が下にあり良くない。
もう上がるという菊池さんと話しているうちに佐野さんと原ちゃんが先にリフトに乗ってしまった。後を追っかける。やがてリフトの上からローラコーストの方へ滑り出す二人が見える。こちら側はだめだと言ったのに、全く人の話を聞いていない。しょうがなく一度ローラコーストを下りて追っかける。途中で追い越してしまったようで、リフトで戻り、上の降り口で二人を捕まえる。「5番が吹雪いているのでこちら側におりた」と言う。5番がだめなら今日はスタンプアレーが最高のコンデション、と二人を案内する。スタンプアレーは上の方3分の1は先ほどよりさらに視界がわるい。さっそく原ちゃんが愚痴る。それでも滑り出したら佐野さんは「いいね」と言ってくれたが、原ちゃんは足が痛いと遅れがち。
時間なのでキャニオンロッジへ下りるが、原ちゃんがなかなか戻ってこない。
先に宿に戻ると菊池さんがもう掃除を済ませてくれていた。
今回も2日間、思いがけない新雪を楽しむことが出来た。宴会も楽しむ事が出来た。健康あっての賜物である。もう一度母の言葉を胸に健康で長くスキーが出来たらと思う。佐野さん、原ちゃんあなた方もだよ!お二人方、そろそろタバコを止めますか?
更なるリクリエーションスキー道を追求し、
世の中の全ての人にスキーの楽しさを伝え続けたい。
皆さんの健康を祈って乾杯!ビールは止められないけど、それでもほんの少しブレーキを踏んでみた。
完