スキー仲間           小堺 高志         4月19日2010年

 

一ヶ月ぶりのマンモスである。

春休みでコンドが使われていて、しばらく来れなかった。その間も今年は雪が降り続けて4月になってから今日16日までの半月だけで180cmもの降雪があった。ゲレンデの雪はほとんど減っていないはずである。

 

出発前の午後にになって原ちゃんから電話があり、「急に斉藤(太)さんが参加することになりましたが食事大丈夫ですか」。食事は大丈夫であるし、大歓迎である。マンモスにはすでに嘉藤さんが行っているし、菊地さんもマンモスに向かっている。久しぶりの豪華オールキャストとなるが、斉藤さんが乗ると急に車の燃費が悪くなるような気がするのは気のせいであろうか?

 

先日、斉藤さんから「このメールアドレスは3月いっぱいで閉鎖することになりました」というそっけないメールが来て、代わりのメールアドレスの連絡もないのである。あんなに斉藤さんには良くしてあげているのに、ひょっとして、斉藤さんは私の事が嫌いなのであろうか?

昔、膝の上に石を載せる拷問があった。よし、ここは4人乗って狭い車中、マンモスまで膝の上にアイスボックスを載せていってもらおう。などと思うのである。

 

金曜、夜7時半にサンタモニカの佐野さんのところに集合。すぐにラーメン屋に行って夕食を摂りマンモスに向かう。星空が美しい。道中、まー、斉藤さんのオヤジ駄洒落ギャグには閉口ものである。火星には人が住めるか?「住めますよ、助けてくれる人がいますから。カセイフ」、今度の冬季オリンピックのあるソチなんてほとんどの人が何処にあるか知りませんよね。「ソッチの方ですよ」などなど頭の4分の一は常に駄洒落を考えているようである。

 

1時半にシャモニーに着くとすでに菊地さんが待っていた。宴会の後3時前に就寝。

 

朝、8時に起床して9時半に第一陣として私と斉藤さんがゲレンデに向かう。まだいっぱい雪がある。しかし今週末で歩いていけるキャニオンロッジは閉まることが決まっており、次回からはメインロッジに車で廻らなければならない。しかし、今ジーズンは7月まで開ける予定だと言う。

8番リフトから22番にのり裏側に滑り降りる。ちょうど良い具合に夜間の凍った斜面が緩み、滑り易い斜面になっている。9番リフトのしたの斜面、滑り出しはかなり急斜面で普段は岩が出ていることが多い場所であるが、たっぷりの雪でカバーは充分である。今日は背中にワインをビニール製の水筒に入れて背負っている。山頂で写真を撮り、先を行く斉藤さんに追いつこうと急いでいて、転倒してしまった。これがまともに水筒をつぶすようなこけ方だったので、雪面を滑り落ちながら気になるのは「あ、ワインが、ワインが!」であるが、斉藤さんに追いついて背中のワインをチェックしてもらったら大丈夫そうである。



日焼け止めで白化粧,キャニオンロッジのパーキングとゲレンデ側から見たキャニオンロッジ
 

5番リフトに2回乗り、フェースリフトに移動してリフトラインで嘉藤さんに声をかけられた。嘉藤さんは今回日本からの鈴木さん夫妻を案内して1週間くらいの滞在をしている。リフトを下りたところで記念写真。鈴木さんは80歳になられるが、若いときに覚えたスキーでまだ元気で滑っておられる。マンモスは80歳からはリフトが無料である。我々も80歳まで滑りたいものである。
 

斉藤さんとさらに何本か滑る。斉藤さんは先月日本に帰り、スキー検定一級の試験に受かってきた。去年2級を受かり、今年は20人受けて4人という1級の検定試験に一発で受かって来たのだから立派である。

 

私はまだ昔流のテールを流す滑りにかなり頼っているので、レールのように滑った跡が2本線として残る滑りを心掛けている。今のカーブスキーの特性を活かすにはスキーへの乗り方を変えていく必要がある。

いつもと違う山頂からのドロップアウトの斜面にモーグル斜面が出来ていた。行ってみたがまだ雪が硬く、ウエストボールより急で手ごわい斜面であることが判り、弾き飛ばされて帰ってきた。まだまだスキーは奥深く挑戦の連続である。



鈴木夫妻とフェースリフトの下り口で
 

12時10分、いつものマッコイステーションに行くと、外のリクライニングシートで原ちゃんが日光浴をしている。今回も腰痛をおして参加した原ちゃん、キャニオンロッジから先には来れないと思っていたが、頑張ってマッコイまで来ていた。マッコイステーションまで来たと言う証拠写真を撮ってあげる。

 

中に入るとすでに佐野さんと菊池さんがビールを開けている。さっそくビールと水筒に入れて守ってきたワインで乾杯。ランチのこの時間に飲むお酒が一番楽しい。

 

午後からは原ちゃん以外の4名で滑るためキャニオンロッジをでる。私がトイレに寄ってから外にでると皆の姿が見えない。斉藤さんらしい服装の人がいたのでそのまま追いかけてスタンピーの方に滑る。すぐにこれは斉藤さんでないと気づく。服装は似ていたが斉藤さんとは似ても似つかぬ良い男で足も長い。何でこんな人と間違ったのだろう?しかしもう戻れないのでそのままスタンピーを下りてフェースリフトに戻るとウエストボールの滑り口に3人を見つけた。追いついて瘤斜面を滑り、ゴンドラでデービスランから9番へ、9番で佐野さんが右にトラバスしようというのでついていったら滑りにくい雪でまいった、まいった。

 

最後は斉藤さんと二人で8番リフトに3回乗ってレールスキーの練習とレッドウイングの瘤を滑る。瘤はちょうど良い大きさであり、やわらかく滑り易い。しかし斉藤さんに引っ張られて良く滑ったい一日であった。



ドロップアウトに出来たモーグル斜面。   マッコイ前で原ちゃんと斉藤さん

ワインとビールで昼食中、 ウエストボール、山頂に向かうゴンドラ

デービスランの入り口、9番リフトにて休憩中

シャモニーに戻ると先にあがった3人がジャグジーに入って呼んでいる。水着に着換えてビール持参でジャグジーに浸かる。一日の疲れがとれるよな青空の下でのラックスした時間である。

 

今日の夕食は斉藤さんにサラダをお願いして私は豚肉、キャベツの赤ワインとケチャップ煮。そして昨日から湯通し脂抜きして塩コショウ、香料、オリーブオイルにつけていた鶏肉を、片栗粉、卵でまぶして炒め、紹興酒、砂糖、酒で仕上げる。スープはチキンベースの玉子スープである。

ハーバー ナギラ、ハーバー ナギラ(ユダヤ人の祝福の歌らしい)と、歌と踊りが出てしまう斉藤さん。5人いれば一人がワイン1本とビール半ダース飲むとしても、かなりの量になる。かくして、翌朝「誰がこんなに飲んだんだ」と空き缶と空き瓶の多さに驚くのである。



今日は貸切状態のジャグジー、そこから見える風景

手作り料理の数々

乾杯、ハーバー ナギラを歌い踊る斉藤さん 

日曜日、朝食をすませ、今日も私と斉藤さんが先に出発。うす曇りであるため、昨日より雪が緩まない。雪面がガリガリであるため、細かい振動が全身に伝わり、マッサージ効果というよりかえって筋肉を硬直させるため疲れるのである。それでも5番に行ったらかなりエッジが効くようになり、良い状態になりつつある。

 

斉藤さんは休ませてくれないので午前中だけでもかなりの本数を滑ることとなる。ゴンドラで山頂にあがると、山頂の案内塔がまだほとんど埋まったままで私の身長くらいしか出ていない。これを見ると今年の雪の深さが判る。

コーニスを滑り、スコティーを滑り、マンボを滑る。少しずつコツを掴みそうな気がする。春スキーは雪質は悪いが自分で挑戦する課題を作って意識を持って滑ることで楽しくスキーを続けることができる。

 

11時半にあがり、キャニオンロッジに戻ると、斉藤さんが残り物で昼から凝った食事を作ってくれる。帰りはほとんどを斉藤さんと佐野さんが運転してくれた。

 

斉藤さんは新潟県のスキー場の近くにマンションを買って、老後の生活設計をたて、実行しつつある。斉藤さんが買ったマンションはスキー場まで50メートルで、もともとリゾート用に開発されたたてものである。そこで時たまスキー学校で教えられたらと言うのが老後の目標であったが、最近スキーパトロール員も良いねと変わってきている。倒れた若い女性スキーヤーをマウス・トー・マウスをするのが夢らしい。

 

4人で他愛ない話に花を咲かせながら下界のエルエーへと帰っていくのであった。

たのしいスキー仲間である。

 

 

山頂の案内塔、 シャモニーの駐車場で斉藤さん、私、佐野さん