雪煙

       小堺高志        File#00-2-21

只今、2月21日午後4時半、今夜でプレジデントデーの3連休も終わろうとしています。

さきほどスキー旅行から帰ったところです。テレビでは6時間前までいたラスべェガスが方々で洪水になって交通渋滞を巻き起こしているというニュースを伝えています。山は雪になっていることでしょう。

今回は金曜の夕方からユタ州のエルク メドウというスキー場に佐野さんと行って来ました。このスキー場はまったく初めて行くスキー場でした。ベガスから約2時間で何度か行ったブライアンヘッドというスキー場への入り口、シダーシティーにつきますが、そこからさらに北に約1時間走ったビーバーという町から山に入ったところにある、さらにマイナーな、スキー天国ユタ州の中でのあまり人の行かないスキー場です。以下はその報告です。

題して “雪煙

2月18日、金曜日は連休の前日でかなりの人が全米中で移動すると思われる。宿を確保しにくいことは想像できたが、その夜のうちに何処まで行けるかわからないため、とりあえず何とか成るだろうと金曜の夜の宿は予約しないまま出かけることにする。

まずベガスの名だたるホテルは連休のため満室または2泊以上を最低宿泊日数といわれるから、ベガスの先、モスキットのカジノホテルか最悪でも前回泊まったシダーシティーのホテルまでいけば今夜の宿を確保できるだろうと楽観視していた。なにせ昨年、クリスマス時のシダーシティーのホテルでは我々の他に宿泊客は殆どいなかったのである。

最初の宿泊候補地であるモスッキットに着いたのは夜10時ごろ、そのカジノではまだ次々に宿を探す旅行者がフロントを訪れており、当然満室。北から来た人にこの先の町の宿の状況を聞いたらこの先のジョージタウンも、またその先のシダーシティーも宿はみつからなかったとのこと。それでも頼りにしていたシダーシティーの定宿へ電話をいれたら満室とのこと、これは困った。土曜の宿をとってあるビーバーのホテルに電話をしたら部屋があるとのこと、思いもよらず初日から9時間、600マイルも走り最終宿泊地まで移動することとなり、1時間の時差をいれ現地時間午前2時に韓国人の夫婦が経営するディインホテルにチェックインできた。

翌朝8時半ごろスキー場に向かう、2日前に降ったという雪で、途中はひさしぶりに見る銀世界、スキー場が近づくにつれ心が踊る。

エルクメドウは初心者向けの上方部と上級者向けの下方部とに完全に分かれており、中級者用の斜面がほとんどない、上級者用のコースはかなり容赦のない急斜面であるが 雪質は最高、この雪質と晴天の組み合わせは年に一度あるかないかのスキーヤーにとり幸せな一刻である。なかなか設備も新しく雰囲気の良いスキー場で気に入った。

2日前のかなり深い雪がパウダーで残っている、惜しむらくは殆ど前日に新雪は荒らされ手付かずの新雪はわずかにゲレンデの端や、林の中に残る程度である。立っているだけでスキー板が沈んで見えなくなる。この手の雪質を滑るには、スキーを廻す感覚でなくスキーで雪面を感じながら雪の上に乗る感じが大切である。

しかも急斜面のためターン終了から次のターンに入る前にしかりと体重を正しい位置に戻し雪を踏みつけスキーに浮力をあたえるなどいろんなテクニックが要求される。

スキーのテクニックは自然に身に付くものもあるし、意識してひとつのテクニックを数シーズンかけてマスターしていかなければならないものもある。そして新雪を雪煙りをあげて滑るのは、最も難しいテクニックのひとつで、かつ最も気分のいいスキーである。スキーの醍醐味ここに極めるといっても過言ではない。青空に舞い上げる雪煙り、風がなければ 粉雪はあくまで優しく、ドライで暖かいとさえ感じる。

スパや、フロントでいろんな人に出会う。

アリゾナから来たコンピューター関係の元政府の仕事や、航空関係の仕事をしていたという元教師のスキーヤー (なにやら複雑な経歴の方だが要はいろんな才能を持ち、その才能で面白く人生を暮らしている人らしい)、その隣にはフロリダからソルトレーク市に航空機のフライト シュミレーション システム設計のため引っ越して行く途中の人。ホテルで、スキーリフトの上で、わずか数分の人生の出会い。一期一会,人は皆寄り道をしながら前へ前へと進み、多くの人とすれ違い、出会い、別れる。

最近そんな私の考えに大きな波紋をあたえた物が、もう会う事がないかもと思っていた人達から頻繁に連絡がある。そうe―mailは人との出会いそして付き合いの観念を変えるもの。これってすごいことだと改めて思う。

ベガスに一泊して雨の中をロスへもどる、今年一番のストームが西海岸を襲う、遠くに雪山がみえる。