地球の涙      12月14日 2010年

 

2010年もあと3週間で終わろうとしている。

 

今季はサンクスギビングの連休にマンモスに来られなかった。連休のその間にマンモスは寒波に襲われ、氷点下18度という異常な寒さのなか、2メートル以上の大雪で佐野さんたちは最高の雪の中で滑る事が出来たそうだ。サンクスギビングにすでに全面オープンという今まで経験した事のない良いシーズンのスタートであった。しかしその後まとまった雪は降っていない。

 

地球の温暖化とはいっせいに気温が高くなるのではなく、気温の上下幅が大きく不安定になり、だんだんと気温があがっていく。その過程では今までに無い暖かさと共に、今までに無い寒さ、大雨、台風、竜巻などの異常気象として現れてくる。10年間で1度の平均気温の上昇でも100年後には10度の上昇である。平均気温が10度上がった世界は、そこはすでに人の住める快適な環境ではなくなる。

我々が欲しいのは安定した恵みの雨と優しい気温の自然である。

 

今回は参加予定者がどんどん減って結局佐野さん、斉藤(健)さんと3人となった。それも私は2日前から喉が痛く、咳が出そうになるのを我慢している状態で、前日の忘年会をキャンセルし、出発の日である金曜の午前中まで参加不参加の結論を保留していたのである。何とか参加することにして、斉藤さんの仕事の関係でサンタモニカの佐野さんのところを出発したのは金曜夜8時過ぎであった。喉の具合が悪いのに斉藤さんは私の話に「それで?」「それはどういうことですか?」と畳み掛けて私に話させようとする。

 

マンモスの宿シャモニー着が夜中の1時半。気温は温かい。この温かさではコンデションの良い雪は期待できない。

 

翌朝8時、昨夜「6時には起きる」といっていた斉藤さんはまだ寝ている。煮込みうどんを食べて、歩いて5分のキャニオンロッジに向かったのは9時半過ぎ。

ロッカーの使用料が一回$4.00の Touken を2枚、8ドルに上がっている。何時もであればまずは朝、スキー靴に着換えて靴を入れておき、そこに夕方翌日のためスキー道具を入れて帰る、一日で2回の使用料を払っていた。先シーズンまではそれが一回2ドルであったからいきなり$8.00とは、何とい暴挙。今までと同じ使用法をしていたら一日16ドルである。いま時、いきなりの400%アップとは聞いた事がない。

元々このマンモススキー場はマッコイさんが個人で持っていたスキー場である。庶民のためのスキー場を経営していたマッコイさんがリタイヤした時にその株をリゾート会社に売った。今のリゾート会社の狙いはこのマンモスをより高級志向にしてお金持ちにお金を使ってもらう場所とする事である。今シーズンのリフトチケットは一日券が92ドル。我々昔からのスキーヤーにMVPとして安いシーズンチケットを出してくれているのが唯一、割安感を持てる事であり、その他は食事も、ドリンクもロッカーもすべてが年々高くなっているのである。皆この急激な値上げに抵抗してロッカーを使っていない。ここは皆でロッカーの使用をボイコットしてスキーヤーの意地を金儲け一辺倒のマンモスの経営陣に見せなければならないと堅く申し合わせたのである。



歩いてキャニオンロッジに向かう.一回8ドルになったぼろロッカー。でも久しぶりのゲレンデは気持ちいい。
 

水曜日には雨が降ったという。

下は固いが表面はいくぶん柔らかい雪がありガリガリではない。でもコンデションは良くない。2週間前より50cmくらい雪が減っていると言う。

斉藤さんが「あそこなら吹き溜まりがあるだろう」と言ったウエストボール、「あそこなら雪が良いだろう」といったコーニス、「柔らかい雪があるだろう」といった12番リフトと我々を引き回し、いずれも斉藤さんの選択は外れであった。

そう言う私も「レースコースに行きましょう、3本のうちの1本は開いてるでしょう」と言って斉藤さんを引っ張っていったら3本ともレースに使われていて閉まっていた。今日は誰が何処のコースを選んでもこんな物であるからしょうがない。

 

マッコイステーションで昼休みを取っていると向かいのコンドの持ち主で15年くらいの友人カールが声をかけてきた。サンディエゴから今回来ると言う連絡を佐野さんがもらっていたが、彼と会うのは2年ぶりくらいになる。サンディエゴはマグロが釣れる。彼が知り合いから分けてもらったマグロを持ってきていると言うので夕飯を一緒にすることになった。

 

帰りがけ、佐野さんが持って帰るのは大変だからロッカーにスキーを入れて行きたいという。「ロッカーのボイコットは次回からにしよう」それにすぐに賛同する斉藤さん、あの申し合わせはなんだったのだ、信じられない軟弱者である。しょうがないから私もスキーをロッカーに入れる。

 

2時にあがって食事の支度をして、佐野さんと斉藤さんはジャグジーに行く。私は風邪が悪化しないように今日はジャグジーはパス。部屋でカールがマグロを持ってくるのを待つ。


前回より2mほど埋まった山頂のポール。斉藤さん避け、否、熊避けの鈴の付いた私のポール。  話、1/3 のカール


リフト上の斉藤さんと佐野さんの2ショット、前々回パーテーをやったリフト小屋を左手にみてレッドウイングへ向かう

今日は斉藤さんが居るので料理は楽である。私は鶏肉の料理と豚のハヤシカレー風を2品作って、後は斉藤さんにお願いする。

 

サンディエゴでは夏にはブルーフィンと呼ばれる本マグロも釣れる。その下のランクがイェローフィン。そして今回カールが持ってきたのはアルバコと呼ばれるサンディエゴで捕れるマグロの中でも最低のランク。ぶつ切にされたマグロの大きさもスキー場でカールが手で示した大きさの半分。「我々の間ではカールの話は3分の一で聞け」と言われているのである。

 

何せ実の息子であるエリックが「うちのオヤジの話は3分の一に聞いてくれ」と私らにいったのである。そのエリック、シンシアの夫婦に今年双子が生まれたと言う。おじいちゃんとなったカールはその話を何度もして「今度、双子の孫を見てやってくれ」というが、話半分とすると双子でなく生まれた孫は一人だけという事になるが??

 

アルバコは佐野さんに言わせれば猫またぎ、猫もまたいで通ると言うマグロである。それも今回カールが持ってきたのは尻尾の方で、一つはシッポそのもの、築地でトロの乗り具合を調べるためにシッポを切り落とすが、あの切り落とされたシッポを拾ってきたような部位である。イェローフィンでなかったうえにこの部位で佐野さんがついに切れた。「もう、カールは夕食に呼ばなくて良い」という。しかしすでにカールには1時間後に食事をしようと言ってある。調整係の私は間に入って大変であるが、結局呼ぶ事にした。佐野さんは私がずいぶんカールに優しいというが、佐野さんはカールに相当冷たい。


何時ものことであるが、佐野さんがジャグジーで先ほど初めて出会ったばかりのマイクとケンブリーの親子を夕食に招待していた。

それとカールと彼の友人で同じ名前のカール、総勢7名でのディナーである。

それでも斉藤さんはポテトサラダ、鶏のスープ、マグロの叩き、刺身を用意してくれた。

刺身もまーまー食べられた。

ケンブリーはカルフォルニアで一番レベルが高いといわれているバークレー州立大学の学生で、高校で日本語を3年間習って3ヶ月間日本でホームステイをしたことがあるそうで、驚くほど上手い日本語を話す。卒業したらまた日本に行くのだと言う。

カールは退職後、映画のユニオンに登録し、あの有名なタイタニックなど、いくつか映画にちょい役で出ている。最近映画のオーデションで「50代のオールドサーファー」という役に応募したそうである。その際55歳と書いてだして、結局落ちた。おいおい、おじいさん、20歳近くもさばを読んでほとんど詐欺師である。

ゲストが帰った食後、2年前に佐野さんとスイスに行った時の写真とビデオをDVDに焼いたのをテレビで観ながら懐かしいスイスでのスキーを思い出す。今年のヨーロッパは寒波に襲われ大変なようであるが、アルプスの氷河は温暖化のため年々溶けて少なくなっている。あのアルプスもどんどん風景を変えているのである。



手前がケングリー(左)とマイクの親子。サンディエゴスキークラブのゴールドメダルをかけたもう一人のカール
 

翌朝も快晴である。

キャニオンロッジからすぐにスタンピーに抜け、このスキー場で一番広く人気のある斜面であるスタンピーを滑る。その後で滑ったフェースの裏斜面が今回一番雪のコンデションがよかった。

 

休憩を取るという佐野さんを置いて斉藤さんとゴンドラで山頂にあがる。目指すはディビスランであるが山頂に着くとディビスランへの尾根伝いの道が閉鎖されている。聞けば「コマーシャルフィルムの撮影のため5分間だけ閉鎖」との事。ついてはボランテアを募集中とのこと。「ギャラが貰えないのなら嫌だ」と言う私と「台詞がないのなら嫌だ」と言う斉藤さん。

ディビスランに下りられないのでゴンドラの真下、クライマックスを下りる。ここもダブルダイヤモンドの急斜面。さらに23番で山頂に戻ってコニース、またゴンドラで戻って先ほど滑れなかったディビスランと急斜面攻めである。



斉藤さんをカメラを持って追う。 クライマックスの途中から上を見る。下を見る。


どうやらジープのコマーシャルフィルムを撮っていたよう。そしてディビスランを下りる


デビィスランの入り口から下を見る。上を見る。 お疲れ様でした

 

11時に打ち合わせどおり佐野さんとマッコイで落ち合って、キャニオンロッジ方面へと引き揚げる。

 

途中、スノーボーダーがゲレンデで横に並んでいる。「斉藤さん、きつく言っていってあげてください」とお願いすると「てめーら・・・・」と声の届かないところでだけ、やたら威勢のいい斉藤さんである。あの落ちそうな腰パンが許せないらしい。

 

キャニオンロッジに戻って佐野さんは先にあがり、斉藤さんと今回の打ち上げの滑りをする。ほどよく解けた雪で滑り易くなっている。気持ちよく滑って、「もういちょう!」。

2度目に選んだコースは日陰で堅い雪で失敗。

「もういちょう、いって見ましょうー!」で、最後の仕上げ。エッジの効いた小回りのターンが小気味よい。12時に終了。
 

スキーをしている間は咳も出ないし、体調が良くなるのは自然の力か?

マンモスにはサンクスギビングの大雪以来雪が降っていない。今度マンモスに戻る予定はクリスマスの連休。それまでにもう一降り欲しいところであるがあまり期待できないようだ。

 

エルエーに戻ると夏のような暖かさであった。アメリカ中西部では摂氏氷点下37度という寒波に襲われている。スキーヤーとしても大雪は要らないが、何時までも変わらぬ自然の恵みが欲しい。

今の地球にはすでに定員オーバーの人類が住んでおり、この世界の人口を養うにためには今の地球の1.5倍の面積が必要なのだと言う。
人類の未来はこのままでは暗い。


マンモスのシーズンパス。ロンパインでアメリカ本土の最高峰マウントホイトニーを望む

 

地球の涙

 

ぼくは旅をして思った

都会は人の暮らす場所、自然は人が生きる場所

 

都会から一歩出れば緑に囲まれた自然がなければならない

美しく澄んだ水と、空がなければならない

動物も鳥も魚も昆虫も

一緒に住める自然がなければならない

 

ぼくに一輪のバラをくれた北欧の少女は

今も美しい森と湖に囲まれて暮らしているのだろうか

 

ぼくに笑顔をくれたアフガンの少年は

今 戦乱の地でもあの笑顔を忘れずに暮らしているのだろうか

 

青い空を流れる雲を追う、その瞳に映るのは

涙ではなく美しく平和な風景であって欲しい

 

地球が泣いている、自分勝手な人間達に

汚染され減っていく 永遠に戻らない自然の恵みに

何時までも絶えない人間同士の争いに

 

神様はこんな想いで地球を創ったのではない

神様はこんな想いで人間を創ったのではない

 

地球が傷つき泣いている

今までなかった暑い夏が来るのも、見たことのない大雨が襲うのも

すべてが地球の涙

 

もうこれ以上傷つけないで、もうこれ以上争わないでと

地球が泣いている

 

地球を微笑ませてあげられるのは、

自然や物を大切にするこころ

相手を思いやり、人に優しいこころ

 

地球が泣いている

 

 
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